漢方薬

免疫力アップ効果が、癌の代替医療で注目されている漢方薬。様々な作用を調査した結果をまとめました。

癌(がん)に対する漢方薬のはたらき

癌(がん)に対する漢方薬のはたらき近年、癌(がん)の治療に対する漢方薬のはたらきが注目されています。

漢方薬は、直接的にがんを攻撃したり、病巣を除去することを目的とした治療法ではないため、がんに対する直接効果が大きいとは言えません。ですが、免疫力や栄養、代謝といったさまざまな機能に働きかけ、がんに対抗しようとする治癒法は有効だと考えられています。

以下では、漢方薬のがんに対するはたらきについて、その目的別にまとめてみました。

免疫力をアップさせて、がん細胞を抑制する!

漢方薬によって、血液の中で免疫を担当する細胞「マクロファージ」や「リンパ球」などに刺激を与え、がんへの攻撃力をアップさせることができると言われています。

さらに、これらの細胞に働きかけて「サイトカイン(免疫力を活性化させる作用やがん細胞を殺傷する作用を持つ)」と呼ばれる生理活性物質の生成を促進させることもできると考えられています。こういった作用が期待できる漢方薬として挙げられるのは、「十全大補湯」「小柴胡湯」「人参湯」などです。

他療法の副作用を軽減する!

手術をした後の身体の回復力を高めるのに、「補中益気湯」や「十全大補湯」が有効にはたらくと言われています。

また、抗がん剤治療による食欲不振や吐き気、白血球減少といった副作用には、「補中益気湯」「半夏瀉心湯」「人参養栄湯」などが効果を発揮するとも。さらに、放射線治療による血尿や血便といった副作用に対しては「小柴胡湯」が効果的と考えられています。

その他にも、下痢や吐き気といった胃腸症状に関しても、漢方薬の作用が有効に働くと言われています。

他療法をサポートする!

漢方薬によって、手術や抗がん剤など、他治療の効果維持、再発予防、また体力回復などが期待できます。

全身の状態を改善へ導く!

がんを一度患うと、がんの転移とは直接関係なく、がんが増殖しやすい体内環境が作られてしまうのではないかという考えがあります。

具体的には、疲労や体重減少、食欲低下などをはじめ、むくみや貧血、体力ダウンといった症状が徐々に起こり、末期の悪液質となる方向へ進んでいってしまうことなどが想定されます。

漢方薬の服用は、こういった全身の状態を改善へと導き、がんの増殖に不適切な身体の状態を作り出す、という作用が期待できると言われています。

漢方薬を取り入れる際に注意したいこと

漢方薬は非常にたくさんの組み合わせがあり、それぞれ持っている働きが違います。向いている人と向いていない人もいるため、漢方薬を取り入れたいと思っているのであればどの漢方薬が自分にとって本当に合っているのかを見極めることが大切になるのです。

西洋薬に比べると効き目は穏やかだといわれていますが、それでも自分の症状に合わないものを取り入れた際にはトラブルに発展するリスクもあります。特定の症状がある場合は飲んではいけない漢方薬があるように、がんの治療を行っている時にも好ましくないとされている漢方薬もあるのです。

また、正気を補う漢方薬の中には癌患者におすすめとされるものもありますが、すべての患者さんにとって良い働きをするとは限りません。ごく稀にではありますが、がん細胞を補うような働きをすることも考えられます。

ここで大切になってくるのが、漢方薬を治療に取り入れる場合も必ず医師に相談した上で飲むということ。

漢方薬は医師に相談して取り入れよう

漢方薬には漢方薬としての働きと目的がありますし、病院で行われている治療にも目的があります。病気の治療目的で行うのは病院で行われている治療が基本となっているため、これを漢方薬で邪魔するような事があってはなりません。

また、漢方薬は複数の生薬の組み合わせによって作られるわけですが、一つ一つの生薬の働きについて調べることはできたとしても、その漢方薬が持っているすべての働きや副作用について素人が正しく把握することは非常に困難だといえるでしょう。

漢方薬を取り入れる場合は必ず医師に話をし、問題ないと判断された場合にのみ取り入れることが重要です。場合によっては「副作用の心配はほとんどないと思われるものの、実際に取り入れる際には自己責任でお願いします」と言われることも考えられます。

癌に限った事ではありませんが、医師に相談をすることなく自己判断で漢方薬を取り入れ、結果的に病状が一気に悪化してしまったようなケースも起きているので、漢方薬も薬だということを十分に理解しておかなければなりません。

漢方薬の探し方

では、実際に漢方薬を取り入れてみたいと思った場合にはどうすれば良いのでしょうか。漢方薬の種類によってはドラッグストアなどでも手軽に購入できるものがありますが、先述しているように自己判断で良さそうなものを取り入れるのはリスクが高いです。

健康な時に取り入れればほとんど副作用の心配がないような漢方薬でも癌で体が弱っている時に取り入れると大きな悪影響をもたらしてしまう可能性も考えられます。

そこで相談したいのが漢方薬の専門家です。専門的な知識を持っている方に相談をし、最適なものを選んでもらいましょう。重要なのはきちんとこちらの話を聞いてくれる専門家に相談することです。

病院で行われている治療を妨げるような漢方薬は選ぶべきではないため、現在の病状だけでなく、病院ではどのような治療を行っているのか確認した上で漢方薬を選んでくれるような専門家だと信頼できますね。

病院で行われている治療を確認しなければ、最も適している漢方薬を選ぶことはできないでしょう。ただ、専門家に漢方薬を処方してもらう場合も、現在治療を受けている病院の医師に飲んでも問題ないか確認した上で取り入れることが重要です。

現在治療を受けている病院で直接漢方薬を処方してもらう場合もその漢方を使うことによってどのような効果が期待できるのかなどを詳しく説明してもらった上で取り入れるか検討しましょう。

実際に漢方薬を取り入れ、体調が良くなった方や元気が出た方はたくさんいます。苦痛を緩和する効果を持った漢方薬などもありますし、癌治療に取り組んでいる方やそのご家族の方は一つの選択肢として検討してみましょう。

末期がんの人は、さまざまな苦痛を訴えられます。がんの疼痛には、神経ブロックや経口モルヒネといった対処法が確立されていますが、漠然とした身体の不快やだるさ、痛み、食欲不振や精神的なイライラといった症状に対しては、漢方薬の効果が期待できると言われているのです。

よく使われる漢方成分

ここでは、癌治療に用いられることの多い漢方を、症状・目的別にご紹介します。癌による苦しみを少しでも緩和できるよう、気になる漢方がある場合は、かかりつけ医に相談してみましょう。

体の抗腫瘍を高める

十全大補湯は、マイトマイシンCや、シスプラチンなどによる抗がん剤治療と併用して用いられることの多い漢方薬です。腫瘍に対抗する抗腫瘍効果を高め、致死毒性を緩和する作用が期待されています。

また、抗腫瘍効果を目的とした漢方薬には、他にも小柴胡湯や補中益気湯があります。マウスを対象に行われた実験では、十全大補湯や補中益気湯がNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を増強させ、ラットやマウスの延命効果が認められているそうです[1]。

免疫力を高める

がん治療により体力が低下すると、免疫力も低下し、細菌やウイルス感染にかかりやすくなります。そのため、がん患者の免疫防御機能を高めるために、漢方では十全大補湯や補中益気湯、小柴胡湯、人参湯などを用いることがあります[1]。

副作用を軽減する

抗がん剤治療や放射線治療は、副作用を引き起こします。食欲不振や嘔吐、倦怠感などの副作用症状や、血小板・白血球の減少、肝機能障害、腎機能障害に対しては、漢方薬として補中益気湯や十全大補湯が用いられます[1]。

例えば、副作用による悪寒や手足の冷え、下痢、食欲不振、倦怠感などは、漢方医学でいうところの「寒虚証」と呼ばれる状態と考えられます。

そのため、漢方薬により体を温め、体力向上につなげる漢方薬が適しているのです。先程ご紹介した、十全大補湯や補中益気湯に加えて、八味地黄丸などもがんの副作用緩和を目的に用いられます[1]。

痛みの緩和

海外の研究では、がん自体が原因となる痛みを訴えるがん患者は、入院患者の78%、外来患者の62%を占めているという結果が報告されています[1]。湖岸による痛みは、原因が様々。手術によるもの、放射線治療によるもの、化学療法によるものなどが主な原因です。

こうした痛みに加えて、がんが骨転移すると、神経にがんが浸潤して痛みを生じます。

痛みを緩和するために、直接的に作用する漢方薬は残念ながらないそうですが、漢方を用いる中医学では、痛みの軽減のために生薬を複数組み合わせて処方されているそうです。

中国漢方には現在日本で保険に使われているようなエキス剤は使われておらず,主に煎じ薬を用い,一部カプセルや錠剤を用いている. それゆえ,単一生薬を組み合わせて煎じ薬として用いているものが多く,特に癌に対してはそのような組み合わせが多い.たとえば,威霊 仙・菌榛嵩・延胡索・黄耆・遠志・甘草・香附子・厚朴・五加皮・牛膝・柴胡・山豆根・芍薬・辛夷・川芎・ 田七・当帰・桃仁・防己などの鎮痛効果のある生薬の組み合わせを用いている.

出典:(PDF)「癌性疼痛に対する漢方療法」順天堂医学,38(1)1992--1993 [PDF]

西洋医学では、痛みの管理はモルヒネや神経ブロック注射などが一般的ですが、漢方による痛みの緩和は、こうした西洋医学による疼痛管理のための薬の投与量を減らす目的で用いられることも少なくありません。

[1]

出典: (PDF) 「癌性疼痛に対する漢方療法」順天堂医学,38(1)1992--1993 [PDF]

漢方治療を検討している方は、こちらのクリニック一覧もチェックしてみてください>>