遺伝子治療

副作用を心配する人から注目されている癌の治療法・遺伝子治療について解説します。

がんを根本治療する遺伝子治療とは

副作用が少なく、がん細胞を減らす効果が高い最新の治療法として注目されている「遺伝子治療」。元々は先天性の難病を治療する目的で研究が始まったのですが、現在ではHIVやパーキンソン病、悪性腫瘍などを改善するために臨床研究が進められています。

そもそも悪性腫瘍とは、傷ついた遺伝子や異常な遺伝子がダメージを受けた細胞を修復できなくなってしまうことによって、異常な細胞(=がん細胞)がたくさん発生・増殖する病気です。

遺伝子が原因で起こる病ですから、正常な遺伝子に戻してあげることができれば、がんは自然に消えてしまうはず。そこで、正常な遺伝子をがん細胞や周辺の細胞に局所的または全身投与する遺伝子治療が考え出されたのです。

がんの遺伝子治療の流れ

がん治療といえば、がんを摘出するための手術が一般的。既に進行し過ぎて手術ができない場合は、再発防止のために手術と併用して行われるのが、抗がん剤治療や放射線療法です。

これらはそれぞれ確かな効果があり、現在のがんに対するスタンダートな治療方法となっています。しかし一方では、副作用や後遺症などのリスクが高いのも事実です。また、発見するのが遅れてしまい、末期がんを申告された患者さんに対しては、治療してもあまり効果が期待できません。

そんな中、効果が高い最新の治療法として登場したのが「遺伝子治療」です。

治療の流れは、まず患者さんの脊髄から幹細胞を取り出し、その細胞を特殊な方法で増殖。それを元に作られた治療用のウイルスを、点滴などで体内に注入します。体内で正常な遺伝子が働き、今まで作られなかったタンパク質がつくられ、病気を治すというものです。

この治療法の最大のメリットは、抗がん剤のように正常な細胞にダメージを与えないため、吐き気・脱毛・骨髄抑制といった副作用がほとんどないという点。このためほかの治療法に比べ安全性が高く、しかも末期がん宣告された患者さんにもこの治療法が使えます。

また、がん細胞に対して独特のアプローチをするため、他の治療と一緒に行うことも可能。抗がん剤や放射線などと併用することで、いろんなアプローチからがん細胞に攻撃できます。

しかしデメリットもあります。現在の段階ではまだ健康保険が適用されず、高額な治療費がかかること、まだ成功例が少なという点がデメリットといえます。

理論上は優れている遺伝子治療ですが、しかし治療用の遺伝子を体内で思うようにコントロールすることが困難な状況。確立した治療法になるのにはまだ時間がかかりそうです。

いま、遺伝子治療を実用化するため、多くの研究者が遺伝子を的確にコントロールする技術を研究しています。近い将来には、安全かつ低リスクながん治療方法として確立される日もそう遠くないかもしれません。

早期発見やがんを未然に防ぐ効果も期待できる

癌は初期の段階での自覚症状があまりなく、頻繁に定期検診を受けている人以外は早期発見が難しい病気で、発生したばかりの腫瘍や目に見えない癌細胞は発見できずに進行してしまうケースも多いです。

そのため、癌の標準治療はある程度の大きさの腫瘍が発見されてから始まることが多く、第一選択と言われる外科手術は、目に見えるサイズの腫瘍となってからしか治療が行えません。

病気は、早期に治療を開始することが完治への何よりの近道。がんにおいても早期発見&治療が最も重要なのにかかわらず、標準治療はそれにあまり適していません。

しかし遺伝子治療の場合は、血液中を流れる異常な遺伝子を頼りに、目に見えないごく初期のがんも発見でき、治療することが可能。がんが発生すると正常に働かないがん抑制遺伝子や異常な遺伝子が血液中に増えるので、血液検査によってがん細胞の有無や発生している部位、悪性度などが分かるのです。

それどころか、遺伝子検査を受けると、まだ発生していない腫瘍までもチェックすることができ、がんを未然に防ぐこともできるそうです。

副作用がほとんどなく体の負担が少ない治療法

遺伝子治療は、検査によって異常の見られる遺伝子の種類を特定し、正常な遺伝子を導入する治療法です。細胞へ遺伝子を導入する方法として、症状に合わせた遺伝子で作るワクチンを点滴で投与したり、腫瘍部分へ局部注射するなどして投与します。

遺伝子治療は、放射線治療や抗がん剤治療とは異なり、がん細胞だけに作用して正常な細胞への影響が少ないと言われています。周辺の細胞を傷つけないので、副作用が少ないわけです。しかも、点滴や注射で投与するだけの治療法なので、外科手術などと比べると患者さんの身体への負担も少なくて済みます。

このように、遺伝子治療は副作用や体への負担がほとんどなく、これまでのがん治療につきものの“苦しい”“辛い”といったイメージを覆す、新しいタイプの治療法なのです。

癌の遺伝子治療の費用について

注目されているがんの遺伝子治療ではありますが、気になるのが費用に関することです。最先端のがんの治療法ということもあり、保険の適用外となるケースがほとんどとなります。そのため、治療費が高額になるのは避けられません。

具体的にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。

遺伝子治療費用

一般的には250~300万円程度が相場となるでしょう。 末期がんの場合はどうしても高額の治療費が必要となります。

これには基本手技料のほか、検査料なども含まれていますが、病院によって宿泊費が含まれていないケースもあるので注意しておかなければなりません。提示された金額にどこまで含まれているのか、それ以外でかかる費用は何なのかという点についてもよく話を聞いておきましょう。

ただ、具体的にどのような治療を行うかは患者さんの状態によっても異なってくるので、必ずしも「○○円ほどの費用がかかる」とはいえません。一人ひとりの体調や状態を考慮した上でオーダーメイド方式で治療を行っていくことになります。

そのため、治療費も違いがあるのです。

また、1クール目の費用に比べると、2クール目以降の方が料金が安くなる病院も少なくありません。これは、1クール目で行うアレルギー反応確認などが2回目以降は不要になることも大きく関係しているでしょう。

それから、何クール分かまとめて契約をしておくと安くなるところもあります。もちろん、病院によって違うがあるので一概には言えません。

オプション費用

遺伝子治療を行う中で、オプションが用意されているところもあります。

例えば、他の治療法や注射を併用して治療を行っていくケースもあるのです。もちろん、遺伝子治療を単体でも選択可能な病院が多いのでよく相談してみてくださいね。

注意しなければならないのが、オプションを含めると総合的にいくらの費用がかかるのか正しく理解できていない方が多いということ。がんの治療では高額な治療費を支払うことになるので、この点は気を付けておかなければなりません。

それから、オプションを利用する場合に遺伝子治療単体を選択した場合には必要なかった追加検査が必要になる場合もあります。するとそちらの検査費用も発生する形になるので気をつけておいてくださいね。

費用についてわからない事があったら理解できるまで説明を求めましょう。

医師に費用について質問をする際には聞きたいことを事前にメモにまとめておくのがおすすめです。

  • 総合費用はいくらかかるのか?
  • 治療をする中で追加費用がかかることはあるのか?
  • 予定よりも安く済むことはあるのか?
  • 支払い方法の選択肢はなにがあるのか?
  • 支払いはいつまでに行えばいいのか?

このように具体的な質問をすると医師も答えやすくなります。医師は患者がなにをどのように疑問に感じているかすべてわかるわけではありません。質問をしないと理解しているのだと勘違いされてしまう可能性があります。

質問をするのは失礼なことではないので、積極的に聞いてみてくださいね。医師に聞きにくい場合は看護師に質問をしてもかまいません。

治療費の支払について

一般的にがんの遺伝子治療を行う場合、治療費はワンクール単位で支払をするケースが多いです。前払いが基本となってはいますが、どの病院で治療を受けるかによっても対応は異なるのでよく確認しておきましょう。

また、前払いで支払を行った場合、途中で何らかの問題が発生して遺伝子治療を継続できないことがわかったとしても返金は受けられない可能性が高いです。

医療費控除制度の対象

ご紹介したいようにがんの遺伝子治療費用は安いとは言えません。そのため、どうしても検討できずにいる方も多いでしょう。しかし、遺伝子治療は自由診療となり、医療費控除制度の対象となるのです。

医療費控除制度とは、多額の医療費を支払ったとしても確定申告を行うことにより所得税が還付される制度のことです。

具体的に言うと、その年に支払った医療費の総額から保険で補填されたぶんを引き、更に10万円(所得が200万円未満の方は所得5%)を引いた額が医療費控除額となります。控除できる金額の上限は200万円となっていますが、確定申告を行うことにより医療費控除額に所得に応じた税率を掛けた金額が戻ってくるのです。

遺伝子治療を受けようと思った場合は病院で医療費控除制度についても話を聞いてみましょう。

がんの問題に加え、お金の問題まで発生することになると精神的にも疲れ果ててしまいます。費用に関する説明がわかりにくかったり、親身になって相談に乗ってくれない病院を選択すると精神的に更なるストレスを感じることもあるかもしれません。

一つひとつの受け答えや説明がわかりやすく、患者に寄り添って心までサポートしてくれる病院で治療を受けましょう。

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