大腸がん

フルオロウラシルやベバシズマブといった、大腸癌の治療で使われる抗がん剤の作用と副作用を調査。

大腸癌に使われる抗がん剤の副作用とは

早期であれば手術をすることで治りやすい大腸癌ですが、再発や転移で手術不能な場合は、副作用が懸念される抗がん剤による治療が中心となります。

従来はレボホリナートカルシウム&フルオロウラシルの2種で行う「5-FU/l-LV療法」が主でしたが、近年はこの療法にオキサリプラチンをプラスした「FOLFOX4療法」、またイリノテカンをプラスした「FOLFIRI療法」が標準的な治療になってきています。また、この「FOLFIRI療法」の投与スケジュールを変えた「IFL療法」というものもあります。

  • 5-FU/l-LV療法:レボホリナートカルシウム&フルオロウラシル
  • FOLFOX4療法:レボホリナートカルシウム&フルオロウラシル&オキサリプラチン
  • FOLFIRI療法:レボホリナートカルシウム&フルオロウラシル&イリノテカン
  • IFL療法:レボホリナートカルシウム&フルオロウラシル&イリノテカン

2007年、大腸癌の治療における薬「ベバシズマブ」の使用に健康保険が適用となりました。これは再発や進行癌に対して用いられ、先に述べた2剤・3剤併用にプラスして使われます。

また、2008年に承認された抗がん剤「セツキシマブ」も、「FOLFOX療法」にプラスして用いられるものと予想されます。さらに、2010年には第三の分子標的薬として「パニツムマブ」も承認されました。

抗がん剤の副作用と特徴

それでは、上記で挙がった主な抗がん剤について、その特徴と副作用を紹介していきます。

フルオロウラシル

概要
DNA合成に必要な物質「ウラシル」に似た分子構造が特徴で、このウラシルに代わってDNAに取り込まれ、その合成を阻害することで抗腫瘍作用を発揮する。さまざまな種類の癌に効果が期待できる。

主な副作用
剤型による差はあるが、強い下痢や出血性腸炎といった消化器症状と、それに伴う脱水症状などが報告されており、高度の骨髄抑制や間質性肺炎、肝機能障害や黄疸、急性腎不全、うっ血性心不全、白質脳症といったものが発症する可能性もある。
一般的な副作用として挙げられるのは、消化器障害をはじめ、しびれやめまい、倦怠感といった精神神経症状、また色素沈着や脱毛といった皮膚症状、さらに腎機能・肝機能低下、発疹など過敏症、発熱などがある。

オキサリプラチン

概要
第三世代のプラチナ製剤。癌への作用としては、2本のDNA鎖の間に入り込み、DNA合成を阻害する。フルオロウラシル・イリノテカンとともに大腸癌の治療における標準3剤とされ、他の薬と併用して使われることが多い。

主な副作用
主なものとしては、吐き気や嘔吐、下痢、手足のしびれなど末梢神経障害、骨髄抑制、喉頭・咽頭が締めつけられるような感覚といった症状が挙げられる。腎臓障害は稀。また、視力低下や心拍異常、肝臓障害などが起こる場合もある。

イリノテカン

概要
日本で開発された直物アルカロイドの誘導体。DNAに働く「酵素トポイソメラーゼ」を阻害することで、抗がん作用を発揮するとされる。日本国内では、さまざまながんに使われ、有効性も確認されている反面、副作用も強い。

主な副作用
激しい下痢や腸炎の可能性があり、症状によっては致命的になることもある。骨髄抑制に関しても高い頻度で症状が現われ、敗血症や貧血といった重い感染症の恐れがある。それ以外には、吐き気・嘔吐や下血、間質性肺炎、腸閉塞などの症状が起こる場合もある。

ベバシズマブ

概要
2007年に承認された世界初の血管新生阻害薬。他の抗がん剤との併用により、良い結果が出ている。癌の増殖に伴う血管新生を抑制し、増殖スピードをダウンさせることで、抗がん剤としての効果を発揮する。また、癌そのものの異常血管を修復して正常化させるという作用を持ち、抗がん剤が癌へ届きやすくなるため、大きい治療効果が得られるとされる。

主な副作用
他の抗がん剤と性質が異なるため、「FOLFOX」「FOLFIRI」と併用しても副作用が相乗的になるというケースはほぼない。
しかし、この薬特有の副作用として、血栓症や出血、血圧上昇、消化管穿孔、創傷治療の遅延といった症状が考えられる。消化管穿孔と血栓症に関しては、命に関わるものではあるが、市販後の全国調査によると、それぞれ低い発症率が報告されている。

セツキシマブ

概要
2008年、製造販売の承認がされた新たな抗がん剤であり、大腸癌が対象のモノクローナル抗体(特定分子の機能を抑制する分子標的薬)。この抗がん剤は、癌細胞の増殖に必要となるシグナルを受け取る「EGFR(上皮成長因子受容体)」を標的としており、これと結合することで、シグナル伝達を遮断して、癌細胞の増殖を阻害する。

主な副作用
この抗がん剤特有のものとしては、国外での臨床試験では皮膚障害(とくに発疹)が報告されている。ただ、発疹は比較的コントロール可能な症状のため、扱いやすい方に分類される副作用と言える。

パニツムマブ

概要
国内では2010年に承認された、再発・進行型の大腸癌が対象の分子標的薬。癌細胞表面に出ている「EGF(上皮細胞増殖因子)」受容体に結合して、癌増殖を抑制する。

注意点
EGFの受容体の根元にある「K-ras」と呼ばれる遺伝子に変異が起こっている場合にパニツムマブを使用すると、効果はほぼ期待できないのに、ただ副作用のリスクのみを負うことが分かっている。そのため、ヨーロッパではこの「K-ras」に変異が起こっていない場合にのみ使用するとの条件付きで承認がされており、国内においても同様の条件で承認されている。

抗がん剤のつらい副作用で悩むより、負担の少ない大腸癌治療を

大腸癌の治療に使われる抗がん剤には吐き気や嘔吐、下痢や倦怠感といった副作用があります。これらの副作用は、身体の大きな負担になるだけでなく、今後のがん治療への不安といった精神的負担にも繋がってしまうもの。治療を受ける当人だけでなく、闘病をサポートする周りの方にとっても副作用は大きな問題です。

そんな問題を解消してくれる新しい治療法が、今、注目されています。癌と上手く向き合って治療を進めていくためには、副作用の心配がほとんどない治療法がおすすめ。次のページでは、まったく新しい癌の治療法である「遺伝子治療」と「免疫療法」、抗がん剤治療や放射線治療の副作用を軽減してくれる「漢方薬」について紹介しています。治療の副作用が重荷になっている方、家族の副作用を軽減したいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

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