卵巣がん

卵巣癌の化学療法で使われる抗がん剤の副作用などについて紹介しているページです。

卵巣癌に使われる抗がん剤の副作用とは

抗がん剤が効きやすいとされ、治療効果も向上している卵巣癌ですが、抗がん剤を使うと副作用があると報告されています。しかし、治療においてⅠa期以外では、必ず抗がん剤治療が必要となります。特に、抗がん剤の「シスプラチン」は手術不能な進行癌でも効果が期待でき、併用・単独で広く使われています。

卵巣癌の治療法

一般的な療法としては、ドキソルビシン&シクロホスファミド&シスプラチンを組み合わせた「CAP療法」が挙げられます。

その他の療法も含めて、一覧でチェックしてみてください。

  • CAP療法:ドキソルビシン&シクロホスファミド&シスプラチン
  • CP療法:シスプラチン&シクロホスファミド
  • EP療法:シスプラチン&エトポシド
  • JP療法:シスプラチン&カルボプラチン
  • TP療法:シスプラチン&パクリタキセル
  • TJ療法:カルボプラチン&パクリタキセル

卵巣癌は比較的発症年齢が低く、再発する可能性が高い癌と言えます。こういった治療を続けていると、抗がん剤はだんだんと効かなってくるため、そのときに使われる薬として「ドキシル」(再発型の卵巣癌を追加適応として2009年に承認)が挙げられます。

それでは以下に、上記で挙げた主な抗がん剤について、特徴と副作用を紹介していきます。

シスプラチン

概要
さまざまながんに有効とされるプラチナ製剤であり、抗がん剤治療の中心的なものとなっている。がん細胞の2本のDNA鎖と結合してDNA複製を妨害し、がん細胞を死滅する働きがある。

主な副作用
激しい副作用が特徴で、特に深刻なのが腎不全をはじめとする腎臓機能障害。また、吐き気や嘔吐、食欲不振といった消化器症状も強く現われ、主に制吐剤の併用などで対処する。骨髄抑制など重篤な副作用が出る場合もあり、投与に際しては検査を行ないながら十分観察する必要がある。こういった副作用の軽減を目的として同じ研究者により開発されたのが「カルボプラチン」「ネダプラチン」。腎機能がダウンしている時や副作用に耐えられない時などにも投与できるケースがあり、シスプラチンの代わりに用いられる場合もある。

シクロホスファミド

概要
現在、最もよく使われる抗がん剤のひとつ。その特徴である穏やかな効果から、大量療法・多剤併用などで用いられるケースが多い。

主な副作用
吐き気や嘔吐、発熱をはじめ、骨髄抑制や出血性膀胱炎、脱毛といった症状が挙げられる。脱毛に関しては、治療を終えて投与を止めれば自然回復する。また、男性の場合は精子生産停止、女性の場合は無月経になる可能性もある。さらに長期・大量投与によって、動機・息切れ・めまいが起こったり、骨髄抑制が増強する場合もある。

ドキソルビシン

概要
代表的な抗がん剤のひとつであり、抗がん性抗生物質の最も代表的なもの。癌細胞のDNA合成を妨げる作用や、DNAを切断し癌細胞を殺す作用がある。

主な副作用
吐き気や嘔吐が発生する頻度が比較的高く、脱毛や骨髄抑制が発生しやすい薬剤でもある。心臓への障害が起きやすいという点も特徴として挙げられ、総投与量が多ければ多いほど、その発生頻度や重症度も上がる。

エトポシド

概要
北米が原産地のアメリカミヤオソウの根茎に含有される「ポドフィロトキシン」の誘導体を使った抗がん剤。

主な副作用
貧血や骨髄抑制、食欲不振、吐き気、嘔吐といった症状がみられるほか、脱毛も発症しやすい。また、投与後まもなくアレルギー反応が出る場合があるため、注意が必要。連続投与においては、特に白血球・ヘモグロビンの減少といった骨髄抑制が起こりやすくなる。せきや発熱、呼吸困難を伴う間質性肺炎の可能性もある。

カルボプラチン

概要
「シスプラチン」とほとんど同等の効果がありながら、毒性を軽くするものとして開発された、第二世代のプラチナ製剤。プラチナ製剤の中で副作用が最も軽いと言われている薬。DNA複製を阻害することにより、がん細胞を死滅させる。

主な副作用
シスプラチンに比べて軽いものの、骨髄抑制や腎障害には注意。吐き気・嘔吐も半数を超える患者にみられる。また、口内炎や下痢、便秘、腹痛、血尿、発熱、しびれといった症状が起こる場合もある。

パクリタキセル

概要
1992年、卵巣がん治療薬としてアメリカで認可され、現在は世界各国において、さまざまながん治療に使われている。

主な副作用
骨髄抑制や発熱、関節痛・筋肉痛、軽い吐き気・嘔吐、頭髪以外の全身的な脱毛などが現われる。また、重いアレルギー症状が投与後まもなく発症する場合があるため、アレルギー体質があるならば、あらかじめ医師に伝える必要がある。手足の痺れ・痛みなど末梢神経の障害や、ときには聴力障害やうっ血性心不全が発症する場合もある。
(※2010年7月、アレルギー予防のためのステロイド剤など、前処置を必要としないパクリタキセル注射剤が承認された)

リポソーマルドキソルビシン

概要
2009年、再発卵巣癌が追加適応として承認された抗がん剤。リポソームという超微小カプセルに「ドキソルビシン」が閉じ込められており、マクロファージ(外敵侵入に備える白血球)に捕まることなく、癌組織の血管へ浸入する。癌組織の中で徐々に放出されるので、作用する時間が長く、脱毛や骨髄抑制、心毒性など主な副作用に関しても軽減された。

主な副作用
口内炎・骨髄抑制・心筋障害・手足症候群、肝機能障害・肺塞栓症・間質性肺疾患などが挙げられる。

抗がん剤の副作用にはどう対処する?

使用する抗がん剤の種類によって、または個人によって、あらわれる副作用やその強さは変わります。しかし、抗がん剤治療を行う際に不安になるのは、やはり副作用ですよね。副作用には、どのような対応が行われるのでしょうか。副作用が現れるとされる時期などと共にご紹介します。

副作用があらわれる時期

抗がん剤を点滴後、24時間以内に現れるとされているのが「吐き気・嘔吐・アレルギー反応」などです。抗がん剤の副作用というと吐き気が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。使用した薬にもよりますが、投与直後はなんともなくても、数時間、数日経過してから吐き気が現れることもあります。

投与後、1週間から数週間後に現れるとされているのが「白血球、血小板等の減少」といった骨髄抑制といわれる症状、「腎機能の低下」などです。また、「手足、口のしびれ」といった末梢神経の症状が出ることもあります。

抗がん剤治療は髪の毛が抜けるといったイメージがありますが、「脱毛」は治療開始後、すぐにはじまるわけではありません。多くの場合、投与後2週間から数ヶ月後に抜け始めるようです。抜け方も個人差があり、薄毛程度のものから全部が抜け落ちる場合もあります。髪の毛が抜けるという現象は、ショックを受けてしまいますが、治療が終了すれば、髪も生えてきますし、元に戻る現象です。

副作用は個人差があります。人によっては他にも「倦怠感や貧血」「味覚障害」「体の痛み」などが現れることがあります。

副作用への対処

  • アレルギー反応

重篤な反応が現れる場合は、投与の中止や薬の変更が求められる場合があります。投与後すぐに動機や息切れ、呼吸困難といった症状が現れる場合は、すみやかに医師による判断を仰ぎます。

  • 吐き気・嘔吐

近年の薬の進化により、吐き気や嘔吐といった症状は、改善されつつあります。抗がん剤投与前に吐き気・嘔吐をおさえる薬を使用することで、人によっては全く感じない方もいます。また、多くの場合、吐き気は数日で消えることが多いです。しかし、投与された薬の効き目がきれた後に吐き気を感じる方もいますので、その場合は、気分の良いときに食事をして、脂分の多いものや乳製品を避けるなどの対応を行います。吐き気がひどく食事が全くとれないなどの場合は、医師へ相談します。

  • 白血球、血小板等の減少

白血球や血小板等の減少は、自覚することが難しい症状でもあります。白血球の減少により体の抵抗力が低下していますので、外出を避けて感染症を予防する必要があります。高熱が出るなどの症状が出た場合は、迅速に医師に相談するようにします。また、血小板の減少で血がとまりにくくなるため、怪我をしないよう注意しながら生活を送らなければいけません。

  • 腎臓機能の低下

使用する薬によって、腎臓や膀胱に影響を与える場合があります。その場合、膀胱炎のような症状や血が混じったような尿が出ることがあります。尿の量を増やすために水分を多めに取るなどの対策を行うことになります。

  • 手足、口のしびれ

抗がん剤が手足や口の神経に影響を与えることにより、しびれといった症状が現れることがあります。生活を送る上で「しびれ」という症状は、さまざまな場面で不便を強いられることがあります。物を持ったり歩いたりといったことが困難になる場合もありますので、危険なものを扱うときや外出先で転ばないような配慮が必要になります。しびれに対する対応として、漢方薬などの薬が処方されることもありますが、治療法というものがないこともあります。治療が終了するまでは、つきあわなければいけない症状でもあります。

  • 脱毛

自分の髪が抜け落ちる、ということは、誰もがショックを受ける症状です。もちろん、全ての人が抗がん剤治療で脱毛するわけではありませんし、使用する薬によって、脱毛しやすいものとそうでないものがあります。また、治療中でも髪が生えてくることもあるようです。抜け方にも個人差があり、まつげや眉毛が抜けることもあります。

脱毛の対処法としては、少しでも脱毛のショックをやわらげるため、短髪にしておくと良いとされています。髪を短くしておくことで、抜け落ちた毛を処理しやすいですし、薄毛も目立たなくなります。さらに頭皮や髪に刺激を与えないように、パーマや染毛を避け、刺激の少ないシャンプーを使用するのも良いでしょう。状態によっては、バンダナや帽子を使用します。また、かつらの着用は、気持ちの面での支えにもなります。

薬を知り医師と連携しながら治療を行うことが大切

抗がん剤は、種類により副作用が違います。使う人それぞれで副作用の現れ方も違います。抗がん剤治療を受ける前に、薬についての知識を持ってから治療を開始することが何よりも大切です。

また、病院で入院しながら治療を行う場合、副作用が現れたとしても病院で即座に対応してもらえますが、通院により治療を行う方は、自宅で副作用と向き合うことになります。その場合には、自己で対処することになりますが、心配な症状などがあれば把握しておくようにし、すぐ医師に相談するようにしましょう[1]。

抗がん剤のつらい副作用で悩むより、負担の少ない卵巣癌治療を

卵巣癌は女性特有の癌です。抗がん剤を使った治療では、個人差があるものの必ず副作用が発症してしまいます。吐き気や嘔吐といった副作用もそうですが、女性が特に気にしてしまうのは副作用による脱毛ではないでしょうか。卵巣癌は、他の部位の癌と比べて発症年齢が低いのが特徴です。薬の影響で髪が抜けてしまうというのは、若い女性にとって非常につらい副作用と言えます。

そんな抗がん剤治療で悩んでいる女性におすすめしたいのが、副作用がほとんどない新しい治療法です。今までの癌治療は外科治療や抗がん剤治療、放射線治療が一般的でした。しかし、今では遺伝子治療や免疫療法といった副作用の少ない治療法が注目を集めています。また、抗がん剤に漢方薬を合わせれば副作用が軽減できるかもしれません。次のページで詳しく紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

卵巣がんの再発にはどう対処する?

卵巣がんの再発の対処法についてご紹介します。

卵巣がんの再発率について

がん治療で患者さんやご家族の方にとって不安に感じることの一つが、一度がんが治ったとされた後の再発です。卵巣がんは、初回の治療後の再発率は、半数以上。治療完了後、2年以内に再発することが多いそうです。

卵巣癌は初回治療によく奏効するものの,半数以上の症例が再発する。再発の時期は治療後2 年以内が多く,特に進行癌(Ⅲ・Ⅳ期)では,2 年以内には約55% が,5 年以内には70% 以上が再発するとされている 1)。再発後の生存期間の中央値はおよそ2 年であり,再発後は根治が困難であることから治療の目的は初回治療と異なり,生存期間の延長およびQOL の改善や症状の緩和である 2)。

出典:『卵巣がん 治療ガイドライン』日本癌治療学会
https://jsgo.or.jp/guideline/img/ransou2015-04.pdf

そのため、再発がんに対する治療は、化学療法が取られることが多く、初回の化学療法が終わってから再発卵巣がんの治療までの期間によって、化学療法が効く確率も変わります。

一般的に、卵巣癌の化学療法が終了してから、再発するまでの期間が6か月以内の場合には、プラチナ製剤に対する抵抗性があることから奏効率は10%以下。逆に再発がんの治療開始までの期間が1年以上経っていれば、奏効率は44〜84%ほどに高まります。

こうした要因から、再発卵巣がんの治療は、どのタイミングで再発するのか、そして再発がんへの治療を開始するのかが、予後に大きく影響すると考えられます。

再発卵巣がん治療の方法〜化学治療〜

再発した卵巣がんの治療は、放射線治療ではなく抗がん剤を使った化学療法が基本となります。

6ヶ月未満で再発した場合には、イリノテカンやゲムビタビン、トポテカン、ドセタキセル、パクリタキセル、リポソーム化ドキソルビシンなどの抗がん剤を単剤で使用し治療します。

また、保険適用外ではありますが、毎週のパクリタキセルによる投与は奏功率が高い化学療法として報告されています。

また、再発までの期間が6か月以上経っている再発卵巣がんに対しては、プラチナ製剤を含む多剤併用療法がガイドラインでは推奨されています。 再発卵巣がんに対する多剤併用療法には「TC療法」「GC療法」「PLD-C 療法」などがあります。

ただし、これらの薬剤のどれがどういった風に作用を表すかは人によっても異なると考えられます。また、今の所、再発した卵巣がんに対して、これといった効果を示す薬剤が見つかっていないのも現状です。今後の研究が進むのが待たれるところです。

再発卵巣がん治療の方法〜放射線治療〜

放射線治療もがん症状を緩和するために採用されることもあります。例えば出血や痛みといった症状の緩和に、放射線治療は有効とガイドラインにも記されています。

再発までの期間が短く、プラチナ製剤系の抗がん剤に対して抵抗性ができている場合でも、放射線治療は有効であると言われています。

再発卵巣がん治療の方法〜外科的治療〜

難治性とも言われる再発性卵巣がんですが、初回手術の状況や再発時期などによっては、腫瘍の完全切除を目指して外科手術を用いることがあります。再発に対する外科手術をする条件は、ガイドラインでは次のように記載されています。

  • 再発までの期間が少なくとも6か月あること

若い世代で発症すれば、将来の子宮温存なども考えたい卵巣がん。とはいえ、卵巣がんは腫瘍がかなり大きくなるまで無症状のことも多いと言われています。早期発見につなげるためにも、下腹部にしこりがある、お腹が張る、トイレが近いなどの症状がある場合、その他の腹部に異変を感じた場合には、速やかに病院に受診しましょう[2]。

【参考URL】

参考[1]:『もっと知ってほしい卵巣癌のこと』NPO法人キャンサーネットジャパン
http://www.mbs.jp/joc/pdf/01.pdf

参考[2]:『卵巣がん 治療ガイドライン』日本癌治療学会
https://jsgo.or.jp/guideline/img/ransou2015-04.pdf