胃がん

胃がんの化学療法において使われる抗がん剤の概要と、副作用について解説しています。

胃がんに使われる抗がん剤の副作用とは

これまで抗がん剤が効きづらく、副作用も多いとされてきた胃がん。ですが、シスプラチンなどの登場によって、大きくその治療法が変わりつつあります。

なかでも注目されているのが、抗がん作用を持つテガフールと、その作用をアップさせるギメラシル。そして、副作用を軽くするオタレシルカリウムという抗がん剤を改良した「テガフール・ギエラシル・オテラシルカリウム(以下「TS‐1」)」です。

単独でも高い効果が期待できるTS-1ですが、より効果をアップさせるために、他の抗がん剤と一緒に用いる併用療法の研究も進められています(他の薬はいずれも副作用においてTS-1と重ならないもの)。例えば、イリノテカンやシスプラチン、パクリタキセル、ドセタキセルなどが挙げられ、いずれか1つが併用されます。

TS‐1単独だと効かない場合にも効果がみられるため、期待されている治療法と言えます。その他の併用療法は、以下に紹介するとおりです。

FP療法

「シスプラチン」「フルオロウラシル」を組み合わせる療法。

MF療法

「フルオロウラシル」「マイトマイシン」を組み合わせる療法。

FAM療法

「ドキソルビシン」「フルオロウラシル」「マイトマイシン」を組み合わせる療法。

FEM療法

「エピルビシン」「マイトマイシン」「フルオロウラシル」を組み合わせる療法。

テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS‐1)

概要
テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウムの3成分が含まれる(上記説明参考)。抗がん剤「フルオロウラシル」を改良したもので、高いがん抑制効果を持ち、副作用は少ないとされる。また、飲み薬のため、日常生活を送りながら治療できる。

代謝拮抗薬とも呼ばれることがあり、フッ化ピリミジン系抗がん剤とも呼ばれます。

がんが増殖するための活動を行うには細胞分裂が必要です。その際には必ずDNAの複製を必要とします。しかし、この薬には細胞のDNA複製を食い止める働きがあるのです。

これは5-フルオロウラシル(5-FU)の働きによるものでしたが、薬の作用時間が短いデメリットがあることを受け、開発されたのがテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS‐1)です。

主な副作用
口内炎や発疹、骨髄抑制、色素沈着といった症状が主な副作用。また、黄疸を伴う重い肝臓障害にも注意が必要となる。下痢や吐き気、嘔吐といった消化器障害の発症もあるが、他のフルオロウラシル系と比較すると軽い。

シスプラチン

概要
さまざまながんに有効とされるプラチナ製剤であり、抗がん剤治療の中心的なものとなっている。がん細胞の2本のDNA鎖と結合してDNA複製を妨害し、がん細胞を死滅する働きがある。

代表的なものとしては次のものが挙げられます。

日本化薬の「アイエーコール」、ブリストル・マイヤーズの「コナブリ」、マルコ、ヤクルトの「シスプラチン」、メルク・ホエイの「シスプラメルク」、ファイザー、協和発酵の「プラトシン」、日本化薬の「ランダ」など。

胃がんのほか、肺がん、膀胱がん、卵巣がん、前立腺がん、食道がん、胃がん、子宮頸がん、悪性リンパ腫などに効果を発揮します。

ただし、シスプラチンの使用だけで大きな変化を実感することは難しいため、一般的には他の治療法との併用になるでしょう。

主な副作用
激しい副作用が特徴で、特に深刻なのが、腎不全をはじめとする腎臓機能障害。また、吐き気や嘔吐、食欲不振といった消化器症状も強く現われ、主に制吐剤の併用などで対処する。骨髄抑制など重篤な副作用が出る場合もあり、投与に際しては検査を行ないながら十分観察する必要がある。こういった副作用の軽減を目的として、同じ研究者により開発されたのが「カルボプラチン」「ネダプラチン」。腎機能がダウンしている時や、副作用に耐えられない時などにも投与できるケースがあり、シスプラチンの代わりに用いられる場合もある。

イリノテカン

概要
日本で開発された直物アルカロイドの誘導体。DNAに働く「酵素トポイソメラーゼ」を阻害することで、抗がん作用を発揮するとされる。日本国内では、さまざまながんに使われ、有効性も確認されている反面、副作用も強い。

手術不能または再発した胃がんに対する効果が大きいと言われているほか、肺がん、子宮頸がん、卵巣がん、非ホジキンリンパ腫、大腸がん、乳がんなどへの役割も果たしています。投与は点滴静注によって行われ、単剤で使われることがあるものの、一般的には他の治療法と組み合わせて活用されることが多いです。

主な副作用
激しい下痢や腸炎の可能性があり、症状によっては致命的になることもある。骨髄抑制に関しても高い頻度で症状が現われ、敗血症や貧血といった重い感染症の恐れがある。それ以外には、吐き気・嘔吐や下血、間質性肺炎、腸閉塞などの症状が起こる場合もある。

ドセタキセル

概要
細胞分裂に関与する微小管の作用を阻害し、がん細胞を死滅する。

進行肺がんのほか、転移・再発乳がんの治療に使われることもあります。胃がんの他、乳がん、非小細胞肺がん、卵巣がん、食道がんの治療に活用されることが多く、中でも特に乳がんに有効とされている治療法です。

主な副作用
浮腫の発症が特徴的。また、肺水腫や心タンポナーデといった重症例も報告されている。一般的なものとして挙げられるのは、吐き気・嘔吐や下痢といった消化器症状、発疹、脱毛など。

パクリタキセル

概要
1992年、卵巣がん治療薬としてアメリカで認可され、現在は世界各国においてさまざまながん治療に使われている。

胃がんのほか、卵巣がん、非小細胞肺がん、乳がん、子宮体がんといった病気の治療に使われることもあります。 

主な副作用
骨髄抑制や発熱、関節痛・筋肉痛、軽い吐き気・嘔吐、頭髪以外の全身的な脱毛などが現われる。また、重いアレルギー症状が投与後まもなく発症する場合があるため、アレルギー体質があるならば、あらかじめ医師に伝える必要がある。手足の痺れ・痛みなど末梢神経の障害や、ときには聴力障害やうっ血性心不全が発症する場合もある。
(※2010年7月、アレルギー予防のためのステロイド剤など、前処置を必要としないパクリタキセル注射剤が承認された)

フルオロウラシル

概要
DNA合成に必要な物質「ウラシル」に似た分子構造が特徴で、このウラシルに代わってDNAに取り込まれ、その合成を阻害することで抗腫瘍作用を発揮する。さまざまな種類のがんに効果が期待できる。

協和発酵工業の「5-FU」のほか、東菱薬品工業の「カルゾナール」、旭化成ファーマの「ベントン」、沢井製薬の「ルナポン」や「ルナコール」が挙げられます。特にフルオロウラシルが使われることが多いのは消化器系のがんに対する治療です。

胃がんのほか、大腸がん、乳がん、子宮がん、注射剤としては、肝臓がんや膵臓がん、卵巣がん、頭頚部がん、肺がんに使われることがあります。

主な副作用
剤型による差はあるが、強い下痢や出血性腸炎といった消化器症状とそれに伴う脱水症状などが報告されており、高度の骨髄抑制や間質性肺炎、肝機能障害や黄疸、急性腎不全、うっ血性心不全、白質脳症といったものが発症する可能性もある。一般的な副作用として挙げられるのは、消化器障害をはじめ、しびれやめまい、倦怠感といった精神神経症状、また色素沈着や脱毛といった皮膚症状、さらに腎機能・肝機能低下、発疹など過敏症、発熱などがある。

マイトマイシンC

概要
DNA分裂阻止や活性酸素でのDNA鎖切断などにより、DNA複製を阻害し、抗がん効果を発揮する、抗がん性抗生物質。

溶解されたあとは不安定になることがあり、冷蔵庫から出してすぐであれば使用可能であるものの、冷凍・遮光保管していた場合でも有効期限は2年とされています。90%以上の力価(実際の効力を表わす単位)を得るためには冷蔵で約3日間、室温で約1日間といった短い期間が限定されているのも特徴です。

主な副作用
骨髄抑制が発症しやすいため貧血や感染症、出血傾向に注意が必要。腎障害も現われやすく、たいていは軽度で済むが、稀に微小管症性溶血性貧血や溶血性尿毒症症候群、急性腎不全といった症状を引き起こす場合がある。

ドキソルビシン

概要
代表的な抗がん剤のひとつであり、抗がん性抗生物質の最も代表的なもの。癌細胞のDNA合成を妨げる作用や、DNAを切断し癌細胞を殺す作用がある。

代表的な商品としては、協和発酵のアドリアシンが挙げられます。胃がんのほか、悪性リンパ腫、肺がん、胆嚢・胆管がん、膵臓がん、子宮体がん、肝臓がん、膀胱がん、大腸がん、乳がん、骨肉腫、多発性骨髄腫、各種の小児がんなど実に様々ながんの治療に役立てられている薬です。

主な副作用
吐き気や嘔吐が発生する頻度が比較的高く、脱毛や骨髄抑制が発生しやすい薬剤でもある。心臓への障害が起きやすいという点も特徴として挙げられ、総投与量が多ければ多いほど、その発生頻度や重症度も上がる。

エピルビシン

概要
DNA螺旋構造の間に入り込み合成を阻害する。また、酵素作用を抑えてDNAを切断する。

商品としてはメルク・ホエイ、日本化薬の「エピルビシン塩酸塩」、ファイザーの「ファモルビシン」、ファイザー、協和発酵の「ファモルビシンRTU」などが挙げられます。

胃がんの他にも急性白血病、悪性リンパ腫、乳がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がんといったものの治療に役立てることができる薬です。

主な副作用
骨髄抑制が強い薬のため、貧血や感染症、出血傾向といった症状に注意が必要。さらに、心臓への障害が生じやすいという特徴もある。一般的なものとしては、口内炎や吐き気・嘔吐、脱毛の発症が多く、他にも発熱や頭痛、発疹や寒気、筋肉痛、肝・腎機能低下などが起こる場合もある。

このように、胃がんに用いられる抗癌剤を使えばどれでも同じ働きが得られるわけではありません。

それぞれの抗がん性抗生物質について正しく知り、自分の場合は取りが向いているのか考え、医師とよく相談しながら最適な治療法について検討してみましょう。もちろん、薬の詳細な働きや副作用について素人が調べられる範囲は限界があります。治療において不安や不満がある場合、それらについても相談し、安心した上で最適な治療を選択しましょう。

抗がん剤のつらい副作用で悩むより、負担の少ない胃がん治療を

抗がん剤の副作用で一番多いのは吐き気や嘔吐です。頻繁に続く嘔吐は、食欲不振や脱水症状、栄養失調を引き起こしてしまうこともあります。また、胃がんへの高い治療効果と副作用の少なさが特徴とされる抗がん剤「テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム」(TS-1)も、副作用がないわけではありません。口内炎や発疹といった比較的軽度の副作用をはじめ、肝臓障害や消化器障害といった重い副作用を発症することがあります。抗がん剤を使って治療する以上、副作用は避けられない問題なのです。
つらい副作用で悩んでいる方におすすめしたいのが、遺伝子治療や免疫療法といった欧米の新しい治療法。副作用がほとんどないのが特徴で、これらの治療法を取り扱っているクリニックも徐々に増え始めているそうです。

こちらでは、副作用の少ない新しい治療法を分かりやすく解説しています。ぜひ一度チェックしてみてください。

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