化学療法(抗がん剤治療)

ここでは、がん治療の三大療法の一つとされる化学療法について解説しています。化学療法の特徴や種類、投与方法、副作用などについてもまとめました。

化学療法とは

化学療法とは、抗がん剤などの薬剤を使用してがんを治療する治療法です。内服や注射、点滴などによって薬を投与すると、血液中に入った薬が全身隅々にまで運ばれ、体内に隠れているがん細胞の増殖を抑制したり、がん細胞そのものを破壊してくれます。

初期には身体の一部分だけに発生していたがん細胞が徐々に全身に転移していき、身体全体に影響を及ぼすようになるがん。放射線治療や手術治療といった局所的・直接的な治療に対して、化学療法は全身的な治療に効果が期待できる治療法です。

化学療法単独で治療を行なう場合もありますし、がんの進行度や種類によっては放射線療法や手術療法などのさまざまな治療方法と組み合わせた「集学的治療」を行なう場合もあります。

がん治療において、抗がん剤が使われ始めたのは、第二次世界大戦後のこと。がんの化学療法は、今日もなお新たな薬の開発・研究が進み、日進月歩の分野と言えます。早期がんの治療や、外科手術前のがん腫瘍の縮小、がんの再発予防などさまざまながん治療のフェーズで用いられる抗がん剤。近年は、分子標的薬の開発が特に盛んとなっています。

抗がん剤の歴史は第二次世界大戦後のナイトロジェンマスタードに始まるが,この60年にがん化学療法は大きな進歩を遂げ,今ではがん治療の一つの柱となっている.20世紀には多数の殺細胞性抗がん剤が開発され,早期がんに対する術前・術後の補助化学療法,局所化学療法,局所進行がんに対する化学放射線治療,進行がんに対する化学療法で一定の役割を果たしてきた.21世紀になり分子標的薬の開発が精力的に勧められ,多くの腫瘍で有効な分子標的治療薬が見つけられている.

出典: 『抗癌化学療法の最先端(教育講演1,第31回日本呼吸器内視鏡学会学術集会)』気管支学,30,2008

抗がん剤の種類は実に多く、各薬剤が適応するがんの種類もそれぞれ異なります。がん細胞の特徴に合わせて、有効な作用を持つ薬を使う必要があります。ご自身もしくは身近な方のがんが何癌なのかに合わせて、どんな抗がん剤があるのかを調べてみるといいでしょう。

出典: 国立がん研究センター がん情報サービス「化学療法全般について」

抗がん剤の種類

抗がん剤とは、がん細胞の増殖を抑えたり破壊したりする働きのある薬です。現在治療で用いられている抗がん剤は「細胞障害性抗がん剤」と「分子標的治療薬」に大別されます。

細胞障害性抗がん剤

細胞障害性抗がん剤は、がん細胞の増殖を抑制するタイプの抗がん剤です。このタイプは盛んに増える細胞に治療効果を発揮。そのため、がん細胞だけでなく正常な細胞にもダメージを与えてしまい、器官や組織に二次的に影響を及ぼし副作用を引き起こします。

主な薬剤としては、がん細胞の分裂を抑制する「代謝拮抗剤」や、たんぱく質の生成やDNAの合成を抑える「抗がん性抗生物質」。がん細胞のDNAを壊す「アルキル化剤」や細胞分裂で重要な役割を担う微小管の働きを止める「微小管阻害薬」などが挙げられます。

分子標的治療薬

抗がん剤の正常な細胞への攻撃による副作用が問題となるなか、新たに開発されたのが分子標的治療薬です。分子標的治療薬は、がん細胞が持つ特徴を捉え働きかける抗がん剤のため、正常な細胞への影響が少ないのが特徴。

現在も開発が進んでおり、乳がんや白血病、肺がんなどの治療でも有効的とされています。しかし、分子標的治療薬にも吐き気やだるさ、寒気、皮膚の発疹などの副作用があらわれる場合も。治療を受ける前は医師とよく相談して治療方針を決めるようにしましょう。

抗がん剤の投与方法

化学療法で使用する抗がん剤は、一般的にカプセルや錠剤などの飲み薬、血管から直接薬を投与する注射薬といったものに分けられます。進行状況やがんの種類によっては動脈内や胸腔内、腹腔内などに投与する場合もあるようです。

抗がん剤治療を続ける間隔は?

がんの種類や抗がん剤の種類、治療目標、副作用の度合いなどによって、いつまで、どういった間隔で抗がん剤治療を続けていくかは変わってきます。抗がん剤治療は多くの場合、薬を投与する日と治療を休む日を組み合わせて、そのサイクルに合わせて繰り返し治療を実施。免疫力や体力の低下、薬による副作用に注意しながら治療を休む日が組まれています。万が一治療中に強い副作用が出たときは、抗がん剤の量を調整したり投与自体をストップしたりする場合もあるようです。また、抗がん剤での治療を行なっている際にほかの薬を併用すると、使用する薬によって副作用や効果に影響を与えてしまう場合も。ほかに服用している薬がある場合は医師に相談することが大切です。

どんな副作用が起きる?

抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常な細胞にも損傷を与えてしまいます。その結果、さまざまな副作用を引き起こしてしまうのです。ここでは、その副作用のなかでも4つの症状をご紹介します。

吐き気や嘔吐

抗がん剤によって脳にある神経が刺激され、吐き気や嘔吐を引き起こすことも。放射線治療と合わせて治療を行なう場合も、照射する部位によって胃や食道などに粘膜炎を引き起こし、吐き気をもよおす場合があります。

脱毛

薬の種類によっては副作用で髪が抜けてしまうことも。抜け方は人によって異なりますが、大体抗がん剤投与の2~3週間後から抜けはじめ、治療が終わった3~6ヶ月後には生えはじめるとされています。また、眉毛や体毛、陰毛など髪以外の部分でも起こるようです。

神経障害によるしびれ

薬の副作用として手足の先がしびれる場合があります。治療が終わったとしてもすぐに感覚が戻らないケースが多く、時間が経過するうちに症状が軽減されていきますが1年以上神経障害によるしびれが続くこともあるようです。

感染症

抗がん剤の影響で血液を生成する機能(骨髄機能)が下がり、白血球の数が減少。病原菌に対抗する力が弱まってしまい、肺や腸、皮膚、尿路といった部位で感染症を起こしてしまいます。

抗がん剤の副作用は人によってさまざまですが、吐き気や嘔吐は投与日や投与してから2~7日後、骨髄機能の抑制は1週間後以降に発現することが多いとされています。

がん治療の三大療法の一つでもある化学療法。抗がん剤の副作用が危惧されていますが、近年では副作用が少ないがんの治療法も出てきています。これからがん治療をはじめる方は、自分の病状に応じた副作用の少ない治療法を選択すると良いでしょう。

副作用の少ないがん治療を見てみる>>