HOME » 抗がん剤とはどんなお薬か » 種類によって違う抗がん剤の副作用

種類によって違う抗がん剤の副作用

抗がん剤の種類と伴う副作用

抗がん剤には、複数種類があります。

「体のどの部位にがん細胞ができたのか」

「抗がん剤をどのような用途に使用するか」

「患者さんに使用しても大丈夫かどうか」

といった点を考慮し、どのタイプを使用するのかを見極めます。効果は強いけど副作用が激しいものや、なるべく負担が少なくなるように副作用を抑えたものなど様々です。

ここは、抗がん剤の効果や副作用を予め知っておくと、いざ副作用が起きても落ち着いて対処することができます。まずは正しい知識を学び、どういった効果があるのかを確認しましょう。

※ここで紹介している抗がん剤の副作用はあくまで一部であり、体質・がん細胞の状態によって表記していない副作用が発症することもあります。

抗がん剤は、大きく分けて2種類に分類できます。

一つは、「 抗悪性腫瘍薬(こうあくせいしゅようやく)」、そしてもう一つは「分子標的薬(ぶんしひょうてきやく)」です。

抗悪性腫瘍薬

抗悪性腫瘍薬とは、その名のとおり細胞を攻撃して治療する抗がん剤です。抗悪性腫瘍薬が、がん細胞で攻撃することによりDNAは消滅してがん細胞の増殖を抑えることができます。

また、大きくわけると5種類に分類される抗悪性腫瘍薬は、それぞれがん細胞に対しての攻撃アプローチが異なります。

①アルキル化薬

最も古くから活躍している代表的な抗がん剤のひとつです。細胞の分裂は遺伝情報の含まれたDNAコピーが必要であり、そのDNAは螺旋(らせん)状である二本の鎖の形をしています。

このDNAの螺旋(らせん)の形を崩すのが、アルキル化薬に含まれている原子である「アルキル基」です。

効果

がん細胞の分裂を阻害する効果があります。アルキル基がDNAに割り込み、形を変えることによりDNAを破損させコピーできなくなさせる状態(アルキル化)となり、がん細胞が消滅します。

主な副作用

骨髄抑制(こつずいよくせい)(※骨髄で作られる赤血球や白血球、血小板の数が減少し、免疫力の低下や貧血を起こす副作用)になることが多いため、十分な療養が必要とされます。また、出血性膀胱炎(しゅっけつせいぼうこうえん)、腎不全(じんふぜん)、口内炎、呼吸困難などの副作用も見られます。

②白金化合物(はっきんかごうぶつ)

白金(プラチナ)に含まれている細胞分裂抑制効果(さいぼうぶんれつようせいこうか)を利用したものです。抗がん剤では、白金化合物のほかにアンモニアや塩素を結合させたものが使われています。

効果

白金に含まれているシスプラチンという成分ががん細胞のDNAに結合します。すると、その結合によってDNAの組織を破壊し始めるようになり、がん細胞の増殖や分裂を避けることができます。

この白金化合物のすごいところは、他の治療薬の効果を高める増感剤(ぞうかんざい)としても使用できること。単体だけではなく他の抗がん剤と組み合わせて使用できるため、医療現場で重宝されています。

主な副作用

腎臓機能低下や腎障害などの副作用が多いのが特徴です。他にも末梢神経にもダメージがあり、手足のしびれや下痢、心臓機能や聴力の低下が見られます。

③代謝拮抗薬(たいしゃきっこうやく)

がん細胞のDNA自体を攻撃するのではなく、DNAに組み込まれることによりがん細胞の増殖を抑える薬です。

効果

代謝拮抗薬(たいしゃきっこうやく)はDNAに成り代わり代謝を阻害します。その結果、がん細胞を死滅させるため、がん細胞が活発化している時に効果を発揮してくれます。

主な副作用

代謝拮抗薬(たいしゃきっこうやく)は、抗悪性腫瘍薬(こうあくせいしゅようやく)の中でも副作用が軽いです。その中でも見られる副作用は、脱毛、吐き気、口内炎、嘔吐などが挙げられます。

④トポイソメラーゼ阻害薬(そがいやく)

細胞内の物質であり、DNAのコピーと生成の中心となるトポイソメラーゼの活動を阻害して細胞分裂を防ぐ抗がん剤です。

効果

細胞核にある酵素成分・トポイソメラーゼが、がん細胞のDNA合成を妨げます。その結果、がん細胞が分裂・増殖するのを防ぐため、体のさまざまな臓器に効果を発揮します。

主な副作用

副作用が強く骨髄抑制(こつずいよくせい)が見られます。また、免疫力の低下による下痢なども発症するため、使用する際には免疫力をつける漢方薬を併用されることが多いです。

⑤抗がん抗生物質

抗生物質(微生物が産生している物質)の一種で、代表的なものはペニシリンです。がんが出来る場所により使用される抗生物質が異なり、悪性リンパ腫、大腸がんにはドキソルビジン、急性白血病、悪性リンパ腫にはエピルビシンが使用されます。

効果

抗がん抗生物質は、風邪などの治療に用いる抗生物質とは違い、がん細胞にあるDNAらせん構造の中に入り込みます。これにより、がん細胞のDNAの合成が正常に行なわれなくなり死滅させていきます。

主な副作用

強めの骨髄抑制(こつずいよくせい)に加え、投与量が増えることで活性酸素の量が増えその影響で低血圧や呼吸異常、その他にも脱毛などの副作用があります。

抗悪性腫瘍薬は他の健康的な細胞まで死滅させてしまうため、用法・用量に注意して使用することがポイントです。

分子標的薬について

分子標的薬は抗悪性腫瘍薬の次に生まれた比較的新しい抗がん剤です。これはその名前のとおりがん細胞にのみ現れる特徴的な分子を発見・標的とし、ピンポイントで攻撃をする治療薬です。

正常な細胞を傷つけずがん細胞に作用するため、他の健康な細胞に対する被害を極力加えることができます。

しかし、全く無事というわけではなく、ある程度副作用は生まれる他、痒みや発熱、時にはアナフィラキシーショックなど、分子標的薬にのみにしか現れないアレルギー反応による副作用もあります。

また、現在の段階ではまだ殺傷能力が低いため、他の抗がん剤と併用して行うことが多いです。 なお、基本的に点滴などで体内に取り込みますが、錠剤タイプの抗がん剤もあります。